Yahooの検索が落ちた

12月2日にYahooの検索が落ちた。トップページのサーチボックスからの検索が出来なかった。

ヤフーの検索障害、原因はドミノ倒し的 CNET Japan
ヤフーは12月2日にYahoo! JAPANの検索サービスが利用できなくなった問題について、調査結果を発表した。同社とバックエンドのパートナーとの間で検索命令の処理に障害が起きたために、検索サービスを提供しているサーバーに不具合が発生したという。... 「グーグル、原因を検索中」：ヤフー、goo、インフォシークのサービスが一時ダウン CNET Japan 12月2日、午後3時半頃から各社の検索サイトに障害が発生し、検索ができない事態が発生した。問題が発生したのはYahoo! JAPAN、goo、インフォシークの3つ。特に障害が大きかったのがYahoo! JAPANで、約3時間にわたってサービスが停止した。...

午後3時半頃から3時間ほど落ちていたようだが、Yahooがこれだけ長時間にわたって落ちるのは珍しい。初めてではなかろうか。

Google本体、Excite, Biglobe, Nifty等のその他のパートナーには影響がなかったため、Yahoo, Infoseek, Gooの3社での問題と思われる。

Yahooから他のサイトへのトラフィックの流入

今回のシナリオは次のようなものだろう。

1. Yahooが何らかの原因で検索できなくなった
2. Yahooの代わりとしてユーザーがGooやInfoseekに流れ込んだ
3. 想定外のトラフィックが来たため、Goo, Infoseek共にトラフィックに耐え切れずに落ちた
4. ユーザーはその他のサイト（Google本体、エキサイトなど）にも行ったが、それらのサイトは思ったほどトラフィックの増加にはつながらなかったので、全く問題なく運用が出来た

この日はエキサイトでも通常より多くの検索数が確認できたが、全く問題なく処理できた。Googleにしてみても、Yahoo, Goo, Infoseekという3大サーチエンジンからのトラフィックがなくなったので、かえって普段より軽かったのではないだろうか。

大手ポータルサイト依存のインターネットの脆弱性

言うまでもなく日本で最大手のポータルと言えばYahooである。今回のように普段Yahooで処理していたトラフィックがいきなりGooなどの他サイトに振り向けれられた場合、Gooが耐え切れないのは想像に難くない。それほど、皆さんは普段Yahooに依存しているということだ。

GooやInfoseekにしてみれば、ハードウェアコストは少ないほどよいので想定トラフィックの10倍も20倍もサーバーを用意したりはしない。せいぜいピーク時の2倍から3倍程度に合わせて、ハードウェアのサイジングを考えているのではないかと思う。

今回は、それをも上回るトラフィックがGoo, Infoseekに流れ込んだのであろう。エキサイトでは確かに普段より多いトラフィックが認められたが、想定の範囲内で十分に納まる量だったのである。

ここで、皆さんがいかにYahooに依存しているかが良く分かる。もしYahooがコケたら、今回のように他のサイトがコケる可能性は今後も十分に考えられる。

ポータルサイト側はそこまで考えてハードウェアのサイジングを決定していない。想定外の急激なトラフィック増には耐えられないのだ。

災害時にもサイトが落ちる

今回はYahoo自身の原因がメインだと思うが、それが連鎖してGoo, Infoseekともに利用不可能になった。災害時にもこれと同様の現象が起きる。先日、地震が起こった時にもYahooの表示に時間がかかった。他のポータルも全てそうだった。ページが出てくるまで1分くらいかかる。気象庁にいたっては完全に落ちていた。

インターネットというのはもともと冗長な「経路」で2点間を結ぶため途中の回線断などには強い設計になっているが、トラフィックが集中したときには目的サイトのサーバーの性能に依存してしまう。簡単に蜘蛛の巣の一部につなげられるという特性によりインターネットは瞬く間に広まったのであるが、トラフィックの集中にサイト側が対応できないという問題には打つ手がない。トラフィックの集中は、考えようによってはDoSのようなものだ。

台風や地震などの災害時に情報を求めて、特定のサイトにトラフィックが集中するのは目に見えている。一方でそのような特殊な要因でのトラフィック集中に合わせてサーバーのサイジングを行ったのでは、ビジネスとして費用がかかりすぎてしまう。

災害時にはやはり、テレビやラジオのような受信オンリーのメディアの強みが出てくるのだと思う。インターネットでこれを実現しようとするとP2Pのような仕組みが有効なのかもしれない。

-inoue